RightARM

日本農業って実際どうなの?農業の強さをはかるデータ分析の勘所

農業経営の”強さ”??

農業経営の「強さ」とは何でしょう。経済学や経営学で言われる強さの指標の一つに「生産性」と言われる言葉がありますね。
投入量に対する算出量です。とりわけ農業における生産性で使われる、パワフルな指標が「労働生産性」と「土地生産性」です。それぞれ一人あたりの生産量、面積あたりの生産量を指しています。
この2つの指標を高めていくことで、より筋肉質な農業を実現する、すなわち農業の経営化を行っていくことが一つ重要なポイントになりそうです。
実際のデータを見てみましょう!まずは、生産性を時系列変化で見てみましょう。
見たい切り口で取得できるデータとして、ここでは生産性を次のとおり算出しました。
労働生産性=農業算出額(万円)÷農業就業人口(人)
土地生産性=農業産出額(万円)÷耕地面積(ha)  

日本農業の”強さ”の現在地

国土面積が狭く、作付可能量も小さい日本農業は、効率的な農業は難しいと言われてます。

しかし、時系列変化で見ると、2023年時点は、1976年時点に比べ、労働生産性は6倍に成長しています。
土地生産性は、今回のデータには反映してませんが、60年代から70年代前半にかけて進んだ品種改良・化学肥料の普及、いわゆる緑の革命の恩恵によって約10倍まで成長しています。日本全体としてはその後、グラフに反映されているとおり、多少あがっているものの落ち着いているように見えますね。

産地農業の”強さ”の現在地

続いて、産地ごとの比較を見てみましょう。今回は2023年のデータを、都道府県単位で比較してみます。

皆さんのデータ活用の目的によっては、例えば県内の市町村別や農産品別でも比較できますので、興味があったら是非チャレンジしてみてください。
(機会があればテラスマイルでもやってみて、また共有します)

生産者の皆さんは、少しデータを取る必要はありますが、自分の圃場毎にデータ比較をしてみると面白いかもしれません。稼げている圃場と稼げていない圃場が分かるかも??

さて、中身を見てみましょう。
労働生産性の全国平均は775万円、土地生産性は210万円でした。

広大な農地でスケールメリットを発揮できる北海道では、労働生産性が1900万円と全国平均の2.5倍になっている一方で、土地生産性はそれほど高くありません。

鹿児島や宮崎は労働生産性、土地生産性ともに平均値の約2倍と他産地から抜きんでていることが分かります。例えば、温暖な気候を利用して、他産地では作付け出来ない冬春作物の産地化が上手く出来ていることが要因かもしれません。
それにしても圧倒的な生産性です。他にも様々な要因がありますので、皆さんの産地がどこに位置していて、なぜそこに位置しているのか、目指すべき位置はどこなのか、是非考えてみてください。
※データは農林水産省 農業構造動態調査をもとに加工しています。