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新しい農業の取り組みはなぜ失敗するのか?「データ活用」で産地の農業を推し進める

農業者は作物体系や育て方が多岐に渡り、産地の足並みをそろえてデータ活用することに悩みを抱えるお話をよく聞きます。
本日はワークショップを通じた意識醸成についてお伝えします。

なぜ変革は進まないのか

チャールズ・ダーウィンは『種の起源』(1859年)の中で、「環境に適応するものが生き残る」と言っています。

環境変化に適応することは非常に重要です。

しかし、農業の業界特性を踏まえると色濃く出てきて阻害要因となる心理的な壁が二つあります。

一つは、「どの部分を変えるべきかが分からない」。

もう一つは、「感情論になりがちで合意形成が難しい」という壁です。

変革意識の醸成

私たちはこの二つの壁を乗り越えるために、「ワークショップ(集合型の研修)」を実施しています。

ポイントは、現状ではなく、未来のありたい姿に目を向けることです。

最初のステップは「変革意識の醸成」です。テラスマイルワークシート集を用いて、参加者には5年後の経営状況と取り巻く環境をイメージして記述してもらいます。

例えば、人件費や物流費は今後ますます増幅することが予測されるため、現状維持の経営をするにしても、環境変化に対応する意識が必要となります。

このような気付きを得ることで意識改革の風土が醸成されます。

具現化したいビジョンの明確化

続いてのステップは「具現化したいビジョンの明確化」です。参加者には5年後の理想的な状態(ありたい姿)を記載していただきます。

データ活用で農業経営の「カイゼン」をするためには目標が必要です。

なぜなら、「カイゼン」が生まれるのは「目標」と「現状」にギャップがあるからです。

「所得の向上」を目指す以外にも、「規模の拡大」「収穫量の増加」「品質向上」等の多様な目標を設定します。

この二つのステップを通じて、目標と現実のギャップと課題のありどころがより明確に浮かび上がります。

さらに、農業は長期的な取り組みが求められる分野であり、一時的な成功では意味がありません。

そのためには産地で共通する課題に、ともに向き合うことも重要です。

最終的には、これらの目標を、既存の産地ビジョンや地域計画、総会の資料と見比べながら言葉をあわせ、よりしっくりくる姿へと整えていくことが二つ目のミッションとなります。

農業はこれまで「わからない」が許される業界でした。

一方で、この「わからない」は問題を避けるための言い訳となり、思考停止を引き起こすこともありました。

「データ活用」は、思考の新たなスイッチを押すきっかけになるかもしれません。